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真っ白なコーヒーカップをもって
ぼくは市松模様のキッチンでふるえてる
春なのに朝は寒い
両手でカップをつつみこむ
手の平は火傷しそうなのに
足の裏は凍傷になりそうだ
真っ白なコーヒーカップをもって
ぼくは市松模様のキッチンでふるえてる
ぼくのカップは世界一
ぼくのカップは無尽蔵
そう思い込んで
すべてを許してきた
ぼくはまちがっていたのだろうか?
真っ白なコーヒーカップをもって
ぼくは市松模様のキッチンでふるえてる
たのんでもいないのに
人々がコーヒーをそそいでくる
「わたしのも味見して」
「おれの分まで飲んでくれ」
だめだよ、だめだよ、あふれちゃうじゃないか
そそがれたコーヒーを捨てることができなかった
真っ白なコーヒーカップをもって
ぼくは市松模様のキッチンでふるえてる
偽善者
口では「すべてを受け入れる」と言いながら
殴りかかってくる友人を拒絶した
ワールドカップ
乳カップ
頭蓋骨のカップ
ぼくのちっぽけなカップでは
ミジンコさえ飼うことはできない
真っ白なコーヒーカップをもって
ぼくは市松模様のキッチンでふるえてる
お願いだから
これ以上注がないでくれ
たったひとりで
自分のコーヒーを飲みたいんだ
あふれだすコーヒーカップをもって
ぼくは市松模様のキッチンに立ちつくす
ぼくの指は
世界中の我がままに火傷する
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