下にいくほど新しくなっています

1 may(wed)
28
planetary moon

真っ白なコーヒーップをもって
ぼくは市松模様のキッチンでふるえてる

春なのに朝は寒い
両手でカップをつつみこむ
手の平は火傷しそうなのに
足の裏は凍傷になりそうだ

真っ白なコーヒーカップをもって
ぼくは市松模様のキッチンでふるえてる

ぼくのカップは世界一
ぼくのカップは無尽蔵
そう思い込んで
すべてを許してきた
ぼくはまちがっていたのだろうか?

真っ白なコーヒーカップをもって
ぼくは市松模様のキッチンでふるえてる

たのんでもいないのに
人々がコーヒーをそそいでくる
「わたしのも味見して」
「おれの分まで飲んでくれ」
だめだよ、だめだよ、あふれちゃうじゃないか
そそがれたコーヒーを捨てることができなかった

真っ白なコーヒーカップをもって
ぼくは市松模様のキッチンでふるえてる

偽善者
口では「すべてを受け入れる」と言いながら
殴りかかってくる友人を拒絶した
ワールドカップ
乳カップ
頭蓋骨のカップ
ぼくのちっぽけなカップでは
ミジンコさえ飼うことはできない

真っ白なコーヒーカップをもって
ぼくは市松模様のキッチンでふるえてる

お願いだから
これ以上注がないでくれ
たったひとりで
自分のコーヒーを飲みたいんだ

あふれだすコーヒーカップをもって
ぼくは市松模様のキッチンに立ちつくす
ぼくの指は
世界中の我がままに火傷する

2 may(thu)
1spectral
moon

日光ではヤシオツツジが開だ
滴るような新緑とツツジのピンクが、童貞と処女のように絡み合う
山肌から立ちのぼる命の熱気がコバルトの空へ吸いこまれていく

なにか新しいことがはじまる

宇都宮パルコを回遊するランブル・フィッシュたちは
ローライズジーンズをへそ下までさげ
セーラーミニを股間まであ

髪を発光させ
太ももや
タトゥーをむき出す

なにか新しいことがはじまる

発情した惑星は
野に遊ぶ鹿にも
コンビニのスナックを奪う猿にも
コンクリートジャングルで暮らす霊長類にも
平等に春を贈ってくれる

なにか新しいことがはじまる

この「むずがゆさ」
五月の「むずがゆさ」ってあるでしょ
だからあ「むずがゆさ」なんだよ
季節の魔法は

なにも新しいことなんかはじまらないかもしれない

それでもぼくは待つ
「むずがゆさ」に見捨てられたとき
ぼくの創作も終わる
「むずがゆさ」を感じ取れなくなったとき
人類は消える

呪文のようにつぶやいてみる

なにか新しいことがはじまる
なにか新しいことがはじまる
なにか新しいことがはじまる

きっときっと
なにか新しいことがはじまる

3 may(fri)
2 spectral
moon

 尾にある温泉かじか荘へいった。
 いつもは貸しきり状態なのに、連休なんで超満員。
 それにしても日本のオヤジたちって、どうしてこうもマナーを知らないのだろう。
 サウナで汗みどろになったまんま湯船に入る。
 風呂の中で屁をこいて、あぶくをうれしそうに嗅ぐ。
 大きなうなりを上げて、床に痰を吐く。
 水中で体操をする。(津波警報)
 「どっこいしょ」「うんこらしょ」「ああーっ」「ふええー」などの大きな一人言。
 休憩室で4人分の椅子を占領して居眠り。
 欧米の高級ホテルのロビーをバスローブやパジャマのまま歩き回り、ひんしゅくを買う「ジャパンオヤジー」があとを絶たない。
 完全に「公=パブリック」と「個=プライベート」をはきちがえている。
 今日はとびきりすごいのを目撃してしまった。
 オレとタケちゃんとケンちゃんが風呂を出て休憩室でくつろいでいると、廊下の窓を上半身裸のオヤジがとおる。頭の上にタオルをのせ、堂々とした歩みだ。
 今日は暑かったし山登りでもしてTシャツを脱いだんだろうと思って顔をもどすと、タケちゃんとケンちゃんが凍りついている。
「ケツだ」
「ドアの前をとおるとき、青いケツが見えましたよ」
「ってことは、素っ裸で廊下を歩いてんのかよ!」
 入り口のロビーから風呂場へつづく廊下は、休憩室から5メートルほど先で男湯と女湯にわかれている。
 その時だ。赤ちゃんを抱えたヤンママが歓談しながら女湯へむかうとちゅうで石像と化した。
 オヤジが引き返してきたのである。
 しかも全裸のまま。
 小麦色の肌、威厳に満ちた口ひげ、かっぷくのよさそうな腹、行きにおとらず堂々人生の歩み。
 「大きなのっぽの古時計」が股間に揺れていた。
 どうやらオヤジは研修室のロッカーを脱衣所とかんちがいしたらしい。さぞかし恥ずかしい思いをし、急いで着替えているのだろう。オレたちは声も上げられない笑いに悶絶していた。
 ふたたびオヤジは脱衣所にむかう。
 しかし窓をとおるオヤジの肩には全衣類がかけられていた。休憩室にいた2組の家族連れも目をむいている。
 ま、またしても!
 青いケツだった。
 オレたちはマッサージチェアから転げ落ち、腹筋がばらけるほど笑った。
 完全に負けた。

 絶対反省しない堂々人生、
 「ジャパンオヤジー」恐るべし。

4 may(sat)
3 spectral
moon

 おくればせながら、村上龍さんの「望の国のエクソダス」を読んだ。
「日本には物があふれてるが、希望がない」
 不登校の中学生たちが懲りない「ジャパンオヤジー」たちを見限って、北海道に独立国をつくってしまうという壮大な物語だ。
 911テロが起こるまえにパシュトゥン人に帰化した日本人少年を描いているのにはびっくりした。龍さんの時代を読むアンテナの鋭さはほとんど「未来予知」だ。
 オレも日記で書いてきた「地域通貨」「ゲゼル理論」「コ・ハウジング」「カーシェアリング」「風力発電」などの未来型社会が日本の土壌で描かれているのが新鮮だった。
 膨大な情報量、無駄のない筆致、希望に満ちた読後感、龍さんまいりました。

5 may(sun)
4
spectral moon

ールデンウィークの日光には来ないほうがいい
観光地はタンポンのつまった配水管に似ている
40分でいける奥日光が4時間かかる
渋滞で車がつながっているおかげで青信号を待たずに横断できるけどね

ゴールデンウィークの日光には来ないほうがいい
観光地は人種差別に似ている
特急スペーシアの切符は買えないし
快速は床に新聞紙をしいて座ることになる
同じ1320円払っているのにね

ゴールデンウィークの日光には来ないほうがいい
観光地は詐欺師に似ている
ぼくが子どものころ祖父は「杉山売店」というキオスクをやっていた
外国人にむかって「うえるかむ」と「はまっち」しか知らない英語で叫んでいたね

ゴールデンウィークの日光には来ないほうがいい
観光地は片思いに似ている
ぼくが小学生のころ父は「宮の下旅館」をやっていた
改札口からあふれだす観光客にカードをかかげる
まるで「ぼくはここにいるよ」とでもいうようにね

ゴールデンウィークの日光には来ないほうがいい
観光地は娼婦に似ている
ぼくが中学生のころ母は「園芸センター」というドライブインでカフェをやっていた
大型バスが着くたび客引きをする
「コーヒーはいかがですか、美味しいコーヒーは」
観光客にこびへつらう母の作り笑いが大嫌いだった

ゴールデンウィークの日光には来ないほうがいい
観光地はゴールドラッシュに似ている
ささやかな夢を求めて人々が群がり
過ぎ去れば、廃虚のような淋しさだけが残るね

ゴールデンウィークの日光には来ないほうがいい
観光地はぼくに似ている
散乱した思い出を拾い集めながら
ふうっと見上げた月

6 may(mon)
5
spectral moon

 リー・ポッター」の入学式の場面を読んでいたら、急に肉が食いたくなった。
 五穀(大豆、黒豆、あずき、鳩麦、キビなど)入り玄米と岐阜県のふじ子さんが送ってくれる無農薬野菜で体調は最高だが、ときどき肉を食わないと瞬発力が出ない。
 そうだ、ステーキを食おう。
 最後にステーキを食ったのはいつだったっけかな。3年前、アマゾンからの帰り、乗り継ぎの関係でアトランタに一泊した。モーテルの近くにあったチェーン店でTボーンステーキを食って以来だ。
 いちおうオレはNYとマドリッドでシェフをやっていたので、たいていの料理はできる。オレが苦心のすえあみだした「日本人のステーキにはこれしかねえぜ」というステーキソースを伝授しよう。
 名づけて「サルサ・アキリート」

 材料
 サーロイン(外国産の安いのでいい)
 タマネギ4分の1個(うす切り)
 しめじ(椎茸でも、なくてもいい)
 ニンニク(大3粒をみじん切り)
 酒(おちょこ2杯)
 しょう油(大サジ2杯)
 マーガリン(大サジ1杯)

 作り方
 フライパンにマーガリンをいれ、ニンニクとタマネギとシメジを炒める。(ニンニクを焦がさないように注意)
 ステーキをいれ両面に焼き色をつける。
 温度をかなり上げてから酒をぶっ込み、フライパンを斜めにして火をつける。(アルコールを飛ばさないと酒臭くてだめだし、ここが炎の料理人の見せ場である)
 しょう油をいれて即完成。

 焼き物はタイミングが大切なので、すぐに皿に盛りかぶりつく。ニンニクが焦げすぎず、ステーキがミディアムだったら大成功。タマネギといっしょに食うと美味いぞ。
 う〜ん、野性の歯ごたえ。筋を噛みきり、あごに力をいれて咀嚼する。
 日本に来たアメリカ人と友達が言ってたよ。「高級和牛なんかマシュマロみたいで、肉を食った気がしねえ」って。 人間だって肉を噛みきるための犬歯が4本もついてんだからね。
 でも現代人は肉を食い過ぎだし、ハンバーグやペットフードになる牛のためにアマゾンが削られていく。ああっ、この矛盾をどう解決すればいいんだ!
 そうだっ、残ったソースでチャーハンつくると美味いぞ。
(チャーハンじゃ地球を救えないぞ、おい)

7 may(tue)
6
spectral moon

れは遠い遠いところにあって
いつでもぼくを呼ぶんです
それは近い近いところにあって
いつでもぼくから逃げるんです

宇都宮市役所のまえにある「どる屋」の主人は
究極のラーメンを求めて修業する

それは遠い遠いところにあって
いつでもぼくを呼ぶんです
それは近い近いところにあって
いつでもぼくから逃げるんです

渋谷の「狩人」加納秀一は(友人と同名別人)
究極の女を求めてナンパする

それは遠い遠いところにあって
いつでもぼくを呼ぶんです
それは近い近いところにあって
いつでもぼくから逃げるんです

門前仲町のミッシェルは

究極の俗を求めて個展する

それは遠い遠いところにあって
いつでもぼくを呼ぶんです
それは近い近いところにあって
いつでもぼくから逃げるんです

稲荷町のぼくは
究極のなにを求めていいかわからない

それは遠い遠いところにあって
いつでもぼくを呼ぶんです
それは近い近いところにあって
いつでもぼくから逃げるんです

でも
ほんとうは
いつでもぼくが逃げるんです

8 may(wed)
7
spectral moon

 田口ンディさんと角川書店の博学者タッキーと写真家の川内倫子さんが日光に来た。
 ケンちゃんが運転してくれ、中禅寺湖畔のキャンプする。たき火を起こしたとたん雨が降り始めた。みんなが不安になるなか、ランディさんがけがけろっとしてる。
「だいじょぶよ、あたし究極の晴れ女だから」
 そう言うと、本当に雨が止んでしまった。
 炭火でバーベキューを食い、日本酒、ワイン、ビール、焼酎をしこたま飲んだ。たき火のもつ求心力は強く、オレたちは夜中すぎまで熱く熱く語り合った。

9 may(thu)
8
spectral moon

 川内子さんリトルモアから出してる写真集「うたたね」「花火」「花子」をプレゼントしてくれた。
 ひざびさに「生身の天才」に会えたような気持ちだ。こんなすごい写真見たことないよ!
 我々が撤収したとたんに雨が降りだした。ランディさんいわく、
「神様、おしっこ我慢させてごめんね」

緊急報告

 5月13日から6月13日の一カ月間、キシコに行ってきます。
 日記もお休みし、メールもつうじませんのでよろしく。


News
★ パレスチナの現状。
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 「アヤワスカ!」の感想
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