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やっとこさ、花見だ。
送電線の鉄塔が2本も立つ公園には満開の桜が花びらを散らしている。
オレたちはブランコのまえに新聞紙を広げ、セブンイレブンで買ってきたイカの軟骨やおでんやキリン極生をならべる。
ブランコに揺られながら極生の500cc缶をあおると、「早く酔える」という経済効果に気づいた。無料のブランコと毎秒地面を蹴ることによって、倍の酔い(198円の利益)が得られる。
「努力」という言葉は嫌いだが、「飛び」と置き換えれば楽しい。
なにより半蔵(HPの師匠=半ちゃん)がマナミちゃんという素敵な彼女を連れてきた。ブランコで遊ぶマナミちゃんをデジカメで撮る半蔵を見ていると、「春っていいなあ」と実感する。
離婚したトッシーはすべり台で遊ぶ女の子を見ながら、「あのとき流産してなければ、ぼくにも同じ歳くらいの娘がいたのになあ」とつぶやく。
酔いがまわったオレもブランコにのる。
体を反らせて見上げると、水色の空を背景に桃白色の花びらが風にそよぐ。
まぶたに落ちてきた花びらを五目おにぎりの黒い海苔にはり、食らいつく。
春を、そのまま食べてしまいたかった。
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