物たちの座りこみ

96年11月30日、阪神大震災の被災者上野さん(53才)東さん(65才)が国会前で断食の座りこみをはじめた。
国はゼネコンや企業への援助はするけど、複雑な利権が絡み、被災者へ直接の援助は皆無の状態。もちろんマスコミはいつも本当の情報を届けてはくれないし、オレだって被災者が復興どころか、日に日に追いつめられてるなんて知らなかった。
上野さんたちは最初、国会前で焼身自殺まで計画していたんだけど、被災者の現実を再現すると夜は日比谷公園に野宿し、「こうなったら、家族に残せるのはオレの生命保険だけ」と文字どうり死をかけて断食を続けた。
オレは、いてもたってもいられずかけつけました。
もちろん被災者でもないオレに出来るのはアートしかない。震災直後の神戸で拾ってきた焼けこげた食器や泥んこの人形などを国会を象徴する赤い絨毯の上に並べて「物たちの座りこみ」という作品を上野さんたちの横に置かせてもらった。

上野さんたちは11日間の断食の末、ついに国を動かした。
今まで各党の利害に縛られて動かなかった議員たちが「被災地国会議員連絡協議会」を発足させ上野さんたちの要求を受け入れた。

衰弱しきった上野さんたちの後ろで日比谷公園の噴水がきらきらと輝いていた。

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