東京アンダーグラウンドの祭典、
DES『EXPLOSITION』

7月に母が死んだ。
ガンが胃から脳に転移して、最後の肺は手のほどこしようがなかった。母親の死を前にオレの決意はますます固まった。
「人生は短い。1分1秒だって妥協してるヒマはないんだ。自分が本当にやりたいことだけをしよう!」
10月2日から23日まで、六本木ダイダイエマニュエル・ギャラリーで行われた個展で、さらにたくさんのアーティストと知り合うことができた。オレは帰国後のわずか半年で知り合ったアーティスト全部を11月9日からはじまる『DEAD END STREET 1』EXPLOSITION(展覧会 EXPOSITIONと爆発 EXPLOSIONからオレが作った造語)に誘った。
作品を作らない哲学者イケちゃんは、縁の下の力持ちだったが、マサ、満知子、星太郎、ヤスの他に、パルコのアート展で入賞したての三田村光土里、バーコードの作品で有名なアート界のブレイン森下泰輔、緻密な写 実と社会性を備えた作品を作る菅間圭子、パフォーマンスグループNestの舞台美術を担当する高村まどか、当時は武蔵野美大の学生で今映画俳優をやってる川野弘毅、ハンズで働く不思議絵のペインター石黒一華、最年少の18才DPZ(加藤史子)などが、これからDESの主要メンバーになる。それから多摩川の河原に住み着く心優しき仙人花ちゃん、ソニーアーティストオーディションで入賞した耳掻き娘吉田かづさ、反骨の版画家長崎剛、環境音楽家でインスタレーション作家の三浦健爾、あの公募展で知り合った京都のトク、スペインで知り合った神戸の中西小百合、コロンビアから芸大に留学してる女性アーティストOGIと皮肉なアメリカ人パトリック、韓国人の銅版画家リー・キジャエ、ヤングマガジンなどで粘土オブジェを発表する宮川ノブ、映画も撮っている中村太郎、マサの従弟の中出博也、芸大のテクニシャン松野光洋、造形大の草野裕美、城英郎、川原健司や、小倉宗、久保田高明。総勢30名のアーティストがひしめき合いながら展示を終えた。
DM(ダイレクトメール)も作る時間がなかったけど、口コミでたくさんの人が見に来てくれた。だってひとりのアーティストが10人の友だちを呼んだって、300人だぜ。おまけにライヴには、さらに30人のアーティストが出演する。
最終日の行われたライヴを実況中継しよう。
11月14日(日)午後2時40分。美貌のオブジェ作家三田村光土里が、開会を宣言する。
暗転になった会場に、ヤスの日常を切りとった写真作品のスライドが映し出された。
そこへAKIRAの歌が重なる。
森下さんが撮影したノイズバンド『非常階段』の無音のヴィデオに、菅間さんが童謡のピアノをかぶせる。
そろそろゲストコーナーのはじまりだ。
大仏ボディーの寛ちゃんが浪速ブルースをうなり出す。
屋久島に住みついて、出産した自分の奥さんの胎盤を食べた夫ヒデが、多摩川に住む仙人花ちゃんのことを歌った『橋の下』を熱唱する。
再び麻生さんはスチームパイプからぶら下がって、気色悪い『歌謡舞踏』で盛り上げる。
トクちゃんの彼氏でもある釘ちゃんは京都から各駅電車を乗り継ぎ12時間もかけてキセルしてきた。名曲『アフリカの王様』に爆音ヴォーカルで熱唱し、フリージャズバンド『渋さ知らず』にいた泉邦宏のサックスが即興で絡んでいく。
タエコさんがのちに『WIRED』を創刊する田中勇樹のギターに合わせ、青江美奈という歌手がヒットさせた『伊勢崎町ブルース』をボサノヴァで歌う。
当時渋谷の駅とかでディジリデゥーやホーミーを演奏していたゴロババは、風邪に倒れて来れなくなった。
三浦健爾のキーボードにのせ、w・バロウズやキャシー・アッカーを編集した後藤達哉が自作の悪夢的小説を朗読する。
スー・インディアンの苦行サンダンスに3年も参加し、胸に生々しい傷跡を残す勇者長崎剛がひきいるレゲエバンド、ハート・オブ・ライオン。今回はパーカッションに生ギターというアコースティック・レゲエを聞かせてくれた。
飛び入りでバーバラ・成瀬が自作の現代短歌を朗読する。
いきなり巨大なノイズが地下室をゆらす。上野タカシひきいるグランジバンド・プカプカブライアンズの登場だ。4時間以上もライヴを見続けてきた観客の目を覚まさせるように、タカシはさらにディストーションを歪ませていく。
ミンレスは小野寺さやかのキュートなヴォーカルとは対照的に、不気味でサイケデリックな世界を展開した。
トリをつとめるのはSIN DE BAND。もとミスタースリムカンパニーのリーダー、しんちゃんのロックンロールバンドだ。ギターはニューヨークでオレといっしょにジャンキーをやっていたター坊が担当している。背中で弾いたり歯で弾いたりと色々楽しませてくれる。ヴォーカルのしんちゃんも人間技とは思えないパワーで、グングン客を押しまくる。
これで終わりか?と思いきや大トリにかけつけてくれたのが10円穴きのこのだっちゃんとのんちゃんだ。ギター2本でコミカルでエッチでアブないオリジナルを熱唱する。いやはや観客も大ノリで♪ニュージャージーUSA、ニュージャージーUSA、新しいジャージはUSA♪大合唱だった。
5時間以上にもおよぶマラソンライブが終った。30人のアーティストと30人の出演者、そしてお客さんもいっしょに乾杯をした。頭も体もヘトヘトで失神しそうだったが、いい知れぬ 満足感に包まれた。もちろんこれはオレだけじゃなくDESに関わってくれた人全員がそうだったと信じてる。

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